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根無し草のように東西南北。島と名のつくところに出かけた放浪記


by gonsima

ダイナミックな島の素材に四苦八苦で腹いっぱい

島鮹の姿揚げで悪戦苦闘!


四国と本州の間を飛び石のような七つの島が連なる笠岡諸島のひとつ、北木島の「天野屋旅館」には毎年季節のいい頃になると、名物料理を求めて、常連客が足を運ぶ




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天野屋旅館は創業百年。
食にも空間にバランスを保つ宿として昔からの老舗旅館だ。
木造3階建ての外観は綿々と島宿として風格を随所に感じさせる。

二階の客室は広々とした本間造りでどの客室からも港が眺めることができる。

3階の大広間まで貫く御柱はとりわけ立派で、これぞ島宿の真髄という雰囲気さえ、柱から伝わってくる。

木組みされた障子窓や透かし彫りの欄間、小物いれの和箪笥など、これらが醸しだす空気は訪れた旅人の時間という概念を忘れさせてくれるようだ。
そんな島の海が茜色に変わる頃、まちにまった夕餉の膳が始まる。

天野屋の名物といえばタコの姿揚げ
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真鮹を一度塩茹で、そのあと脂でサッと揚げる。足が太くハリがあり、噛めば噛むほど甘みが口に広がる。むっちりと弾力のある鮹の真髄を味わえるのもまさに島ならではのもの。
「明石の鮹より、島の鮹のほうが元気よく立派で。明石で売られている鮹って、島の鮹だったりすることも多いんです」と宿の二代目にお聞きして、納得。
こんな鮹。築地探したって出会えるもんじゃない。

とにかく大きい鮹は食べきるのにまた一苦労。
鮹の足、一本食べるのに何分かかるのか。
口のなかは鮹だらけ。まさに鮹尽くしだ。



もちろん、名物料理は鮹ばかりではない。
島の近海で水揚げされたばかりの魚介類がテーブルの上に隙間なく並ぶ。
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紅色の蟹の殻をむけばはみ出んばかりの蟹味噌、車エビの踊り食い、サザエ、ニシの壺焼き、鯛の酒蒸しに刺身盛りと瀬戸内の旨味がもてなしてくれる。

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食後は島蜜柑が用意されていた。
畳のへりにそってまっすぐ敷かれた布団の上に足を投げ出し
蜜柑を剥げば清楚な甘味が鼻をつく。
島蜜柑は懐かしい昔のまんまの蜜柑で、ホスピタリティに富む味というか、とにかく豊潤。口に含むたびに甘くて清らかな果汁がじゅわっとあふれる。

どの食にも、すべてに島の旨味が凝縮されている。
口いっぱいほおばった
鮹も刺身も蟹も、島蜜柑もお腹のなかでじわっと自分の体に吸収されている。

太ったなあああと頭をかくものの・・・
腹いっぱいという言葉があてはまる瞬間はまさにいまだろう。






DATA)
天野屋旅館
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住:岡山県笠岡市北木島町3944
電:0865-68-2019
料:一泊2食付8000円~
アクセス:三洋汽船北木島行き乗船、北木島港下船、徒歩10分
URL:http://www.shimazukuri.gr.jp/amanoya/



ダイナミックな島の素材に四苦八苦で腹いっぱい
by gonsima | 2006-01-23 23:19 | 日本:瀬戸内海